社労士よもやま話(7)これは失敗最近は少なくなった鞭打ち症のお話。事件は通勤災害で片足を失った御主人の通院治療を介助するために同行した奥さんが、介護タクシーに乗車中女性ドライバーに追突された交通事故。事故現場近くの病院で治療を受けたが其の時の病名は「頚椎捻挫・頚部痛・腰部打撲」と言うもので入院をするほどの症状とはみられなかった。翌日から頚部に痛みが強くなって近くの市立病院に行き治療を開始したところ,頚髄損傷と診断され四肢不全麻痺が発生している事が確定した。そこで懸引と投薬治療などで様子を見ることになったが、最終的には頸髄の手術が必要との判断が確定し手術を行う計画が提案された。其の時、担当医の説明では頸髄手術は今までに数例の経験で、頸髄という場所であることによって100%成功することの保証は出来ない、場合によっては後遺症が発生する可能性も否定出来ない、更に患部を切開してみないと最終判断が出来ないと言うものであったという。この時、被災者の症状は、四肢不全麻痺、左肩に頑固な痛みと凝り、腰部に痛みがあったが、日常生活としては風呂もトイレも一人で出来る状態で、手術を行うか否かについて何回も被災者の自宅で相談をおこなった。被災者は、たまたま喘息と眼科治療に都内の大学病院に通院をしていたことから、その大學病院に相談をすることになって1週間ほど入院をして検査を受けた。この事が彼女の補償請求を大きく狂わせることになった。原因は交通事故として受診すべきものだったものを国民健康保険で治療を受けた。診断結果は「手術の成功率は30%以下で手術は高リスク、且つ、糖尿と気管支喘息を発症しているのでその症状の回復を待って行う」というものであった。手術を諦めた被災者は同病院の紹介で自宅近くの整形外科に通うことに成ったが、症状が増悪傾向であったが糖尿と気管支喘息の既往症のため痛み止めの注射が出来ないので投薬と成り、加齢とともに徐々に進行する増悪症状の後遺症状を、どこの時点で治癒と判断するか、そのころ治療効果が薄らぎ苦痛の中にあった被災者は精神的に自暴自棄な発言が多くなって、担当医とのコミニケイションも相当に悪くなっていたが、医師に診断書をどのように表現しもらうかが損害額の算定に大きく影響を与えるので、被災者に自分の症状をメモ書きして持参し、これをもとに具体的に説明するように指導をしても、思うように医師に情報が伝わらないので大変苦慮をしていた。受傷から3年も過ぎたことに業を煮やした損害保険会社は、転医先の整形外科から後遺症診断書を取り付け14級の傷害として損害額の計算をして筆者当てに仲介の協力を求めてきた。一方被災者は、症状の増悪に大学病院の麻酔科に紹介されて入院治療を始めていた。以前同大学病院で撮影された頚椎のCTの拡大写真が麻酔科の治療のためにプリントされ、これを入手することができた。見ると誰が見ても頚髄がインゲン豆のようになっていて、それが原因で四肢に麻痺が出ているのだが、これを医師が後遺症として認めないと言うことである。後遺症がない限り損害は認められないと言うのが保険会社の姿勢であった。そこで私の被災者に対する提案は、裁判で後遺症を認めてもらうと言う作戦で、親しい弁護士を紹介した。何時ものことなので訴状を書くときに詳細な打ち合わせをするが、弁護士には詳細な説明は省略した。被災者は交通事故で自分がどんなにか苦しんでいるか、それを弁護士に聞いてほしかったようだ。それが原因となり、肌が合わないというので、市役所の無料相談の弁護士に相談をして事件解決を依頼をすることになってそこで縁が切れた。結果は保険会社の主張が通ったと言うことでしたが。私が紹介した弁護士は大学の友達で、ついつい何時もの調子で訴訟の打ち合わせは後で詳しく説明をするからと事務的な連絡で、弁護士も鵜沢先生から詳しく聞きますと、被災者の心情を長い時間をかけて聞かなかったことが、彼女の救済が出来なかったことに繋がった。しかし、被災者の苦しみを何回も何時間も聞く我々も辛いのです。裁判でも、示談でも、被災者の精神、神経的なものは損害額の算定につながりにくいと言う特徴があり、これを何とか解決の道を作らないといけないのではと思いますが、先導役はやはり判例になり、法曹界の研究が待たれます。

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